経済産業省より液化天然ガス法「改正省令」が2024年4月2日に交付されました。
一番早い施行は3ヶ月後の7月2日からですが、この法改正によって賃貸物件でLPガスを使っている方のガス使用料金が下がる可能性が出てきました。
今回の記事では、
- 法改正によって今後何が変わるのか?
- LPガスの使用料金がなぜ変わるのか?
について詳しくまとめました。
液化石油ガス法「改正省令」について
経済産業省が交付した改正省令は以下の通りです。
初見は「なんのこっちゃ?」という感じでした。
一つずつ噛み砕いて解説していきます。
過大な営業行為の制限
まず1つ目、過大な営業行為の制限です。こちらは2024年7月2日から施行されます。
"正常な商慣習を超えた利益供与の禁止"とは何ぞや?ということですが、今までLPガス事業者の中には賃貸住宅オーナーへ契約した見返りに過大なサービス提供をおこなっているところもありました。
たとえばLPガス配管工事無料程度なら理解できますが、エアコンやコンロ、Wi-Fi、インターホン等の賃貸住宅設備も無料で提供していたのです。
オーナーの目線になってみれば「賃貸を始める上で初期設備がタダで手に入る!」となり、金銭面で助かるので契約の後押しになることでしょう。
今までやっていたこのような行為が禁止になります。
それと2つ目。LPガス契約書には"期間内に事業者の切り替えをする場合に違約金が発生する"といった消費者に不利な条件が書かれていることもありました。
これは消費者の事業者選択の権利を阻害するおそれがあるとして、"LPガス事業者の切り替えを制限するような条件付き契約"は禁止になります。
三部料金制の徹底
三部料金制とは料金の内訳を基本料金・従量料金・設備料金の3つに分けて表示をするとこと。
上記の通り、今までLPガス事業者は賃貸物件設備をサービスする見返りとして賃貸オーナーと契約を結んでいたわけですが、その無料にした設備費用は誰が負担していたと思いますか?(もちろんLPガス事業者全てがやっていたわけではありません。【極稀】に良くないことをするガス事業者がいたらしいです。)
そう。賃貸契約をした個人、つまり我々消費者のガス料金に上乗せをして請求していたのです。
簡単にまとめると、
賃貸オーナー「賃貸物件の初期設備がタダで手に入ってラッキー!」
ガス事業者「賃貸物件の契約取れたラッキー!無料にした設備費用もこれから回収できるぞ!」
住んでる人「…ガス料金なんか高くね?」
設備費用とは本来、賃貸オーナーが負担するべきもの。部屋を借りてる人がそれを払うのはおかしいですよね。
これが通るなら何だってアリになってしまいます。
ただでさえLPガスは都市ガスに比べて1~2割ほど高いというのに、それに輪をかけて料金が高くなります。
そりゃあ「LPガスは高い!!」と有名になりますよね。だって設備費用も載っかってんだから。
さらに今まではそのことを料金の明細に記載する義務がなかったので、個人では気付くことができませんでした。
今回の改正ではガス料金の内訳を3つに分けて記載することで、我々消費者もガス料金の不自然さに気付くことができますし、そもそも改正概要に"LPガス消費と関係のない設備費用のLPガス料金への計上禁止"や"賃貸向けLPガス料金の消費設備費用についても計上禁止"が盛り込まれました。
LPガス料金等の情報提供
入居希望者にLPガス料金の事前説明の努力義務が課せられます。
一般的にLPガスは都市ガスよりも高価であるので料金がどのくらいになるのか事前に提示する必要があります。現段階では努力義務となっています。
そしてここが一番のポイントなのですが、入居希望者がLPガス事業者に対して情報提供の要請をした場合、必ず応じなくてはならなくなりました。
今回の改正は普通に生活していれば消費者は知る由無いですから、入居者が無知なのを良いことに三部料金制を事業者が守らなかったとしても情報提供を強制できるのです。
住んでる人「ねぇ事業者さん。ガス料金高いんだけど、明細どうなってる?教えてくれない?」
ガス事業者「設備費用を載せてました。ごめんなさい。」
こちらは義務となります。悪いことをしていてはすぐにバレてしまうので悪徳LPガス事業者は震えていることでしょう。
以上のことから、今までLPガス料金に設備費用分が上乗せ請求されていた方はこの改正を機に金額が是正されることでしょう。
まぁそんな悪徳事業者は【ごく少数】だと思いますので、金額が変わらないに越したことはないのですが。
でも念の為、ガス事業者に情報提供を求めるのもアリだと思います。丁寧に教えてくれることと思います。
「賃貸住宅に住んでてLPガスを使ってるよー」という方、ぜひ確認を。
おわり